【Dorico】Tipsその23(2nd time onlyその3:ライン)
3回に渡って、繰り返しで異なる演奏指示(2nd time onlyなど)の入力方法について解説しながらDoricoの機能を紹介しているところです。
今回はラインをご紹介します!
ラインとは
再生(プレイバック)に影響しない線がラインで、水平線(横棒線)と垂直線の2種類があります。水平・垂直という名前ですが、いずれも傾けることは可能です。
スラー、強弱記号、アルペジオ、グリッサンド、トリル、ピアノのペダル……といった再生に影響する線には固有の機能が用意されているのでそちらを使い、たとえばピアノの右手・左手の指示や、今回テーマにしている2nd time onlyといった指示にはラインを使います。
ラインパネルを見てみましょう。

水平線は、開始位置と終了位置の配置を「符頭」「小節線」「リズムの位置」から選べます。

垂直線には開始位置・終了位置という概念はありません。

ラインの使用例。ここでは破線が水平線、左手を表すカギが垂直線です。(リストのノクターン《愛の夢》より)
ラインにテキストを入れる
次のようなラインを作ってみましょう。
水平線のパネルに「内向きフック付き実線」が用意されているので入力します。
入力されたラインを選択し、下ゾーンのプロパティパネルで「横棒線」にある「テキスト」をオンにして「2x only」と入力すれば完成です!
ラインを複製して新規作成
「2x only」というテキストが付いたラインをパネルに追加することもできます。
メニューバーの「ライブラリー」→「ライン…」で「ラインを編集」ダイアログを開きます。
「水平」カテゴリーにある「内向きフック付き実線」を選択し、「選択から新規作成」ボタン(左下、左から2つめのボタン)をクリックします。
名前は「2x only」などわかりやすいものを付けておけばOKです。「注釈」は「ハイフン付きのテキスト」を選択し、「音節」に「2x only」と入力して「OK」で閉じると、パネルに自作のラインを追加できました!

「ハイフン」「音節」という用語が使われているのは、「cre-scen-do」といったようにハイフンで音節(シラブル)で区切った表記が可能だからです。
ライン注釈,ラインボディ
次のような五線を覆う括弧をラインとして作成する方法をご紹介します。

この括弧、実は水平線です。
ラインは、「ラインボディ」と「ライン注釈」の組み合わせでできています。

実線、破線などラインの本体がラインボディ、キャップ(フック)などのパーツがライン注釈です。
まずはメニューバーの「ライブラリー」→「ライン注釈…」で「ライン注釈を編集」ダイアログを開きます。
「音楽記号」カテゴリーを選択し、左下の「新規作成」(「+」ボタン)をクリックします。
すると「ライン注釈を編集」ダイアログが出てきます。
なんだか難しそうですが、順番にご説明しますのでご安心ください!
「フォント」にはお使いの音楽フォントを指定します。デフォルトでは「Bravura」というものになっていますが、Chaconne Exをお使いいただいている場合は変更するのを忘れずに!
「範囲」に「Time signatures」を選択すると、拍子記号関連のグリフが表示されます。
この括弧は本来拍子記号をくくるためのものですが、これを応用するわけですね☆
グリフを追加したら「OK」ボタンです。
そうすると「ライン注釈を編集」ダイアログに戻ってくるので、「括弧 左」と名前を付けておき、同じ要領で「括弧 右」も作成します。
「ライン注釈を編集」ダイアログは「OK」で閉じて、次はメニューバーの「ライブラリー」→「ラインボディ…」で「ラインボディを編集」ダイアログを開きます。
デフォルトで実線、破線、点線などさまざまなラインボディが用意されていますが、「線の太さ」が「0」のボディを新規作成します。

名前は「線幅ゼロ」としておきます
あとは、作成したライン注釈とラインボディを合体させるだけです。
「ラインを編集」ダイアログを開き、今度は新しいラインを完全に新規作成します。
ボディスタイルには先ほど作成した「線幅ゼロ」を、開始位置と終端のキャップには「括弧 左」と「括弧 右」を指定し、「OK」で閉じると……
パネルに追加されました!
これを楽譜上に追加します。

デフォルトでは五線を避けてしまいますが、浄書モードで下ゾーン「横棒線」パネルの「衝突を回避」をオフにするとぴったり五線の中央に合います。
完成です!
おわりに
ラインについて解説しようとするとかなりのボリュームになってしまうので、ここでは最低限の事項に絞り込んでご紹介しました。
「ラインボディ+ライン注釈=ライン」です。なんとなくお分かりいただけたでしょうか?
紹介し切れていないオプションもたくさんあるので、いろいろ触っていると新たな発見があるかもしれません。
今後もDoricoでの楽譜づくりに役立つ機能を紹介してまいりますので、お楽しみに!