【Dorico】Tipsその24(トップノートのみを指定した和音:和音モード,フィルター)
今回はDoricoでトップノート(和音の最高音)のみを指定した和音を入力する方法をご紹介します。

ボイシングは演奏者にお任せ!
このコラムでは過去にSibelius、Finaleでの操作方法をご紹介しました。アプローチとしてはSibelius同様、符頭を非表示にするわけですが、Doricoならではの役立つテクニックも交えながら解説します♪
※注意:「符頭の非表示」はDorico 4.3以降で可能です。
和音モードの意外な活用法
まずはトップノートを入力します。
入力した音符を[Ctrl(Win)/Cmd(Mac)]+[C]キーでコピーしたら、和音モードをオンにします。

和音モードはここ!
和音モードのショートカットキーは[Q]です。和音を意味するchordの頭文字はCですが「ド」(ハ音)を入力する[C]と被ってしまうので、発音の似た[Q]が選ばれたのでしょう。コードネームも[Shift]+[Q]なので、セットで覚えてしまいましょう。
そのまま[Ctrl/Cmd]+[V]キーで貼り付けると……
重なって張り付きましたね!
貼り付けた音符が選択されていますので、そのまま[Alt/Opt]+[↓]キーで5度〜1オクターブほど下に動かします。[Alt/Opt]+[Ctrl/Cmd]+[↓]キーで一発でオクターブ下げることもできます。

今回は1オクターブ下に動かしました。
あとはこの符頭を非表示にすればよいわけですね♪
便利なフィルター
上記の操作を行なった直後は符頭が選択された状態になっていますが、選択を解除してしまった場合にはフィルターがとても便利です☆
音符をすべて選択し、右クリックメニューの「フィルター」→「和音の中の音符」→「最低音または単音」を選択すると……
目当ての音符だけを選択することができました!
符頭を非表示に
「浄書」モードに切り替えます。ショートカットは[Ctrl/Cmd]+[3]ですね!
非表示にしたい符頭を選択し、下ゾーンの「音符と休符」プロパティパネルにある「符頭を非表示」と、必要に応じて「加線を非表示」をオンにします。

完成が近づいてきました!
ちなみに、メニューバーの「ビュー」→「音符と休符のカラー」→「非表示の符頭」で表示/非表示を切り替えることができますよ♪
タイを非表示に
次にタイを非表示にするのですが、方法を2つご紹介します。
まずはタイを削除してしまう方法です。「記譜」モード([Ctrl/Cmd]+[2]キー)に戻り、タイでつながった音符を選択し「はさみ」([U]キー)を使います。

タイが削除されました。
このときタイが下を向きますが、上向きのほうが自然です。「浄書」モードでタイを選択し、[F]キーで上向きに戻しておきましょう。Fはflip(ひっくり返す)の頭文字ですね☆
タイを削除する代わりに、浄書モードでタイの太さを0にすることで実質的にタイを非表示にすることもできます。

トップノートのタイも上向きのままです!
お好きなほうを選んでくださいね!
浄書Tips:タイの長さ
タイが小さすぎると読み落とされてしまいかねません。過去にもそのような楽譜をたくさん見てきました……(泣)
Doricoではこれを防ぐために「浄書オプション」→「タイ」→「長さ」→「音符間のタイの長さの最小値」がデフォルトで1.5スペースに設定されていますが、逆に間延びすることを嫌って小さい値に設定している方もいらっしゃるしれません。

印刷の汚れと思われるかも?
適宜、浄書モードで調整してあげましょう。

これで安心ですね♪ 符鉤とぶつけちゃってOKです。
おわりに
これで完成でもよいのですが、余計な付点も非表示にしたくありませんか?

真の完成形
じつは、Doricoでは和音(厳密には「声部列」という概念)を構成するすべての符頭を非表示にしないと付点が非表示にならないのです。
しかし2つの声部を組み合わせることで表記可能です。声部というのはFinaleでいうところのレイヤーに相当するもので、次回はDoricoにおける声部・声部列について解説します。
そうそう、非表示にした符頭をプレイバックしたくない場合は「Tipsその21(2nd time onlyその1:再生を抑制、小音符)」をご覧くださいね♪
それでは!