【Dorico】Tipsその63:コード記号の見た目を変える

Doricoでのコード記号の入力方法については前回記事をご覧いただくとして、今回は見た目の設定方法です。

Doricoに標準で用意されているコード記号のプリセットの意味と由来も、なんと日本語の情報源としては初めて[※筆者調べ]ご紹介します!

プリセットがたくさん用意されているのはよいとして、BostonとかBrandt-Roemerとかいうのはどういう意味?

意味≠見た目

例としてCメジャー・セブンスの書き方には、

  • Cmaj7
  • CM7
  • C△7

などがあり、さらにテンションノートを乗せる場合は♯・♭の記号を使う、+・-の記号を使う、括弧でくくる・くくらない、上付き文字にする・しない……など、スタイルのバリエーションは枚挙にいとまがありません。

Doricoでは見た目ではなく意味が重視されます。Cmaj7もCM7もC△7も「Cメジャー・セブンス」であることに違いないので、入力するときに区別することはできませんし、同じ楽譜の中に異なる表記を混在させることもできません。

意味≠構成音

かといって、同じ構成音なら同じ意味のコードとして扱われるとも限りません。

ド・ミ・ソ・シから成るCmaj7とC△7を同じ楽譜の中で混在させることはできませんが、ド・ミ・ソ♯・シから成るCM7(♯5)とCaugM7は混在させることができます

  • CM7(♯5):メジャー・セブンスの四和音の第5音を半音上げたもの
  • CaugM7:オーグメントの三和音に長7度の音を加えたもの

と定義できるからです。

なお、MIDIキーボードでコード記号を入力したり、入力された音符からコード記号を生成する機能を使用した場合に、どちらを優先するか設定することができます。Doricoのコード記号は多機能で1つの記事では紹介しきれませんので、次回ご紹介しますね!

浄書オプション

楽譜の見た目を設定するのが「浄書オプション」です。浄書オプションはメニューバーの「ライブラリー」の中、またはショートカットキー[Shift]+[Ctrl(Win)/⌘(Mac)]+[E](engraving=浄書の頭文字)で開くことができます。

「コード記号」カテゴリーでさまざまな設定をすることができますよ!

画面右端のスクロールバーの短さから、オプションの多さがわかるはず。

コード記号のプリセット

膨大なオプションから自分好みのスタイルを設定するのはたいへんです。そこで、オプションの一番上に「コード記号のプリセット」が用意されています。

世界のいろいろなコード記号のスタイルを用意してくれているのですが、どれが何を意味しているのかよくわかりませんよね。

そこで! 今回はこれらの意味と由来をご紹介します。

  • Boston:ボストンのバークリー音楽大学で教えられている様式。
  • Brandt-Roemer:C.ブラント&C.ローマー著『Standardized Chord Symbol Notation[標準化されたコード記号表記法]』の様式。
  • Indiana:インディアナ出身のジャズサックス奏者・教育者、J.エバーソルドの出版物で使われている様式。
  • New York:ニューヨークにあるジャズ・アット・リンカーン・センターで使われている様式。
  • Nashville:ナッシュヴィル・ナンバー・システムによるディグリーネーム。
  • Jazz Standards:ジャズスタンダードナンバーのリードシート集、『The Real Book[リアル・ブック]』で使われている様式。
  • Ross:T.ロス著『The Art of Music Engraving and Processing[楽譜の浄書と製版の技術]』の様式。
  • 日本語(Japanese):日本は日本でもヤマハの出版物の様式。(「日本式」などと訳すべきなのはご愛きょう。)
  • デフォルト:△、○、∅、+といった記号を避け、できるだけわかりやすく調整されたスタイル。
     

出典

[いずれも2026年3月23日閲覧]

Dorico公式ブログではプロダクトマーケティングマネジャーのダニエル・スプレッドベリー氏による開発日誌が全16回にわたって連載されており、Doricoの設計にあたっては膨大な資料を参照していることがわかります。Doricoを深く理解したいという方は、ぜひご覧になってみてください!

おわりに

前回はコード記号の入力、今回は見た目の変更について扱いました。次回は音符からのコード記号生成など、より効率的にコード記号を作成する方法をご紹介しますので、お楽しみに!

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