【Dorico】Tipsその71:フェルマータ(延長記号)

今回は、Doricoでフェルマータ延長記号)を入力する方法を解説します。

いろいろなフェルマータ。右に行くほど長い。

FinaleやSibeliusといった楽譜作成ソフトウェアでは、フェルマータは特定の音符に対して割り当てるものでした。

しかし、Doricoではに対して割り当てるという設計になっています。

この概念の違いさえ押さえてしまえば、スムーズに理解できるはずです!

パネルでの入力

フェルマータは画面右側の「延長記号と休止記号」パネルに用意されています。

こちらは見たとおりなので、次章でポップオーバーを使った入力方法にフォーカスします。

ポップオーバーで入力

フェルマータを入力したい音符を選択し、[Shift]+[H]キーで「延長記号と休止記号」ポップオーバーを開きます。

Hはholdの頭文字です。日本語でも「ホールドする」などといいますが、英単語のholdには停止・保留といった意味があり、じつはフェルマータそのものをも指すのです。(イタリア語のfermataも、もとは停止という意味ですね。)

「延長記号と休止記号」ポップオーバー(ショパン:《練習曲》イ短調 作品25-11より)

「fermata」または「fer」と入力して[Enter(Win)/Return(Mac)]キーを押すと……

フェルマータが入力できました。

ポップオーバーのエントリー(入力する文字列)をいくつかご紹介します。

  • フェルマータ:「fer」「fermata」「pause」
  • 非常に長いフェルマータ:「veryLongFermata」
  • 長いフェルマータ:「longFermata」
  • 短いフェルマータ:「shortFermata」
  • 非常に短いフェルマータ:「veryShortFermata」

※大文字と小文字の区別はありません。
※それぞれ「fermata」は「fer」と省略可能です。

リズムの位置

先ほど大譜表の上段(右手)の音符を選択したのに、下段(左手)の全休符(小節休符)にもフェルマータが表示されましたね。

拍の位置を示すオレンジ色の点線が表示されていますが、よ〜く見ると下段のフェルマータも2拍目(※2分音符を1拍とした場合)に属していることがおわかりになるでしょうか。

点線にご注目。

さらに、フェルマータを片方だけ選択することはできません。つまり、フェルマータは特定の音符に属しているのではなく、譜表や声部に属しているわけでもなく、「2小節目の2拍目」に属しているということなのです。

より厳密には、Doricoにおけるリズムの位置[リンクはDorico公式マニュアル]は拍子記号や小節に依存しないため、フローの冒頭から4分音符7つめの位置に入力したことになります。

拍子記号を削除してみると、わかりやすいかもしれません。

なお、先ほどは音符を選択してフェルマータを入力しましたが、音符入力のキャレットを目的の拍に合わせて入力することもできます。

フェルマータと譜表・声部

次の音符を選択してフェルマータを入力してみます。

すると……

このようにすべての譜表、すべての声部にフェルマータが表示されます。

では、フェルマータの位置を次のように変えるにはどうすればよいか、いちど考えてみてください。

フェルマータを選択して[Alt/⌥]+左右矢印キーを押し、拍の割り当てを変えればよいのです。

あるいは、この音符を選択してフェルマータを追加してもOKです。

次は下段のフェルマータを下に移動させたいのですが、フェルマータを1つだけ選択することはできません。

そんなときは落ち着いて、浄書モードに切り替えます。

浄書モードなら、個々のアイテムを選択して位置の調整ができるのです。

あとは[F]キー(flip=反転の頭文字)を押せばOKです。

譜表ごとの最大フェルマータ

デフォルトでは、フェルマータは1つの声部に1つ表示されます。

このような譜面は理屈としては正しくても煩雑になってしまうので、フェルマータを節約(?)することがあります。

しかし、記譜モードではフェルマータを1つだけ選択して削除することはできません。

浄書モードだと、1つだけ選択できたとしても削除することはできません。

なぜならば、個々のフェルマータは絶対に不可分であり、音符にも譜表にも声部にもひもづかないからですね。

ということで、記譜モードでも浄書モードでもよいのでフェルマータを選択し、プロパティパネルを見てみます。

「延長記号と休止記号」の中に「譜表ごとの最大フェルマータ」という項目があります。

最大フェルマータ——。なんだか、ここ以外では一生聞かなそうな響きですね(笑)

それぞれ次のような挙動となります。

声部につき1つ

譜表の片側につき1つ

譜表につき1つ

適宜、使い分けましょう。

浄書オプション

先ほどの譜表ごとの最大フェルマータや位置などのデフォルトは「浄書オプション」の「延長記号と休止記号」カテゴリーで変更可能です。

浄書オプションはメニューバーの「ライブラリー」の中、または[Ctrl/⌘]+[Shift]+[E]キー(engraving=浄書の頭文字)で開くことができます。

お好みの設定にしたら「デフォルトとして保存」しておきましょう。

おわりに

冒頭でショパンの練習曲、通称『木枯らし』を引用しましたが、じつは作曲者は次のように書いています。

Doricoでは1つの譜表に最低1つのフェルマータが表示されるので、困ってしまいますね。

これをどう対処するかは次回解説しますので、お楽しみに!

Follow me!