【Dorico】Tipsその43(調号の非表示その1:無調、全パートを臨時記号で表記)

スポーツの秋! 読書の秋! そして“芸術の秋”めいてきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。冷房を入れていた次の日には暖房を入れていたりして、温度変化にちっとも追いついていません……! 体調を崩されませんようお気を付けくださいませ。

さて、無調性の音楽や頻繁に転調するような場合に調号を使わずに表記することがしばしばあります。このときDoricoなどの楽譜作成ソフトでハ長調で書いてしまうと、ピアノ譜ならば問題ないかもしれませんが、移調楽器の場合は実音(コンサートピッチ)から移調音(記譜音)に切り替えると不要な調号が表示されてしまうなど問題が生じます。

今回はDoricoでこれに対処する方法をご紹介します。

調号を使わず臨時記号だけで書く方法を、英語でopen key signatureと呼ぶことがあります。無調はふつうatonalityの訳語、すなわち調性がないことを表しますが、ここではどちらも区別せず無調と呼ぶことにします。

まずは実音表示で、調号をハ長調に設定します。

実音表示(ウィンドウ左下に「実音」「移調音」切り替えスイッチがあります)

☆調号の入力方法と、うっすら赤色で「C Major」と表示されているガイドについては【Dorico】FinaleからDoricoへ!Doricoの基礎 その3(調号と拍子記号)をご覧ください。ガイドが表示されていない場合は表示しておきましょう。

このまま移調音表示に切り替えると……

移調音表示

もちろん、それぞれの移調楽器に合わせて調号が表示されます。

「調号なんて必要ないよ!」「全部臨時記号で書くぜ!」という場合は、実音表示に切り替えて「C Major」をクリックし、[Delete](または[Backspace])キーを押します。

するとハ長調とは似て非なる“調がない”状態、すなわち無調になるので、移調音に切り替えても……

移調音表示

調号が表示されませんね!

ここで疑問が生じます。楽曲の途中から無調にするにはどうすれば?

——ご安心ください。「無調」という調号を任意の場所に挿入できます。

無調にしたい最初の部分を選択し、[Shift]+[K]キーで調号ポップオーバーを開きます。

「open」と入力して[Enter(Win)/Return(Mac)]キーを押すと……

「無調」が挿入されました。これで、楽譜のどこでも無調表記にできますね!

おわりに

音楽の進化は目まぐるしく、調号を使わず臨時記号で表記するケースも珍しくなくなってきました。ぜひ覚えておきましょう♪

次回はティンパニやホルンなど、調号を使わずに表記する慣習がある楽器の場合について解説します!

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