【Dorico】FinaleからDoricoへ!Doricoの基礎 その3(調号と拍子記号)
今回からはいよいよ記譜モードの解説です。記譜モードでは音符や記号の入力といった、音楽的な意味の編集ができるんでしたね! 第1回がまだの方は、ぜひ先にご覧ください。
まずは新規プロジェクトを作成してみましょう。Doricoには豊富なテンプレートも用意されていますが、ここではメニューバーのファイルから新規を選択し、空白のプロジェクトを作ります。前回の記事を参考に、ピアノのシングルプレーヤーを追加してみます。
そうすると空の五線が表示されますが、調号もなければ拍子記号もありませんね。今回はDoricoにおける調号と拍子記号について解説します。
調号
デフォルトでは調号がありませんが、これはハ長調でもイ短調でもない、調号がない状態(無調)です。外観上は違いのない3つの調(ハ長調、イ短調、無調)を、Doricoは明確に区別するのです。一緒じゃないかとお思いになるかもしれませんが、たとえば音符入力や移調の際、異名同音の表記に違いが生じます。もちろんハ長調とイ短調でも表記に違いが出ますので、平行調でも正しく設定しておくことをオススメします!

MIDIキーボードを使って、同じ音をハ長調とイ短調でそれぞれ入力した例。表記が変わっていますね!
ちなみに赤色で「C Major」「A Minor」と表示されているのは、楽譜上に表示できないアイテムなどを示すガイドと呼ばれるものです。(これがないと区別がつきませんもんね! 邪魔なときはメニューバーの「ビュー」→「ガイド」から非表示にできます。)
調号を追加するには、右ゾーンから調号のアイコンをクリックします。ほかの記号も大部分はこの右ゾーンから入力できますので、何か入力するときはここを探してみましょう。
ちなみに、調号を書き換えても移調はされません。メニューバーの記譜→移調から、もちろん移調できますよ!
拍子記号
デフォルトでは調号と同様に拍子記号もありません。この状態をDoricoでは自由拍子と呼び、拍子や小節に関係なく自由に音符を入力できます。カデンツァを入力するときなどに利用できますね!
拍子記号は、調号と同じく右ゾーンから入力できます。

拍子記号を追加すると小節線が挿入され、連桁(れんこう)も適切にグループ化されます。
ポップオーバー
ここで記譜モードにおける便利かつユニークな機能、ポップオーバーも紹介しておきましょう。ショートカットキーとポップオーバーを使用すれば、コンピューターの(文字の)キーボードだけで様々な記号を入力できます。
たとえば[Shift]+[M]キー(拍子を意味するmeter/metreの頭文字で覚えましょう!)で拍子記号のポップオーバーが表示されます。たとえば4分の3拍子であれば「3/4」と入力し、[Return(Enter)]キーを押すと拍子記号が挿入されます。アウフタクトを作成するには、コンマに続けて弱起の拍数を入力します。

1拍のアウフタクトをもつ4分の3拍子を作成するには「3/4,1」と入力します。
ちなみに先ほど紹介した自由拍子(カデンツァ)を曲の途中に挿入するには、ポップオーバーに「open」と入力します。(これは右ゾーンからは作成できません。)
調号のポップオーバーは[Shift]+[K]キーです(keyの頭文字ですね!)。調を英語式の音名で指定します。たとえば大文字で「Eb」だと変ホ長調、小文字で「c#」だと嬰(えい)ハ短調といった具合です。シャープは「#」(井桁)、フラットは「b」(小文字B)というのはなじみのある代用表記だと思います。なお「open」と入力すれば無調になります。
最初のうちは右ゾーンを使用し、慣れてきたらショートカットキーとポップオーバーも活用することで楽譜入力がますます快適になりそうですね!
おわりに
ここまで3回に渡ってDoricoの基本を解説してきましたが、音符の入力はまだかと言われてしまいそうですね(笑) それだけ、Doricoには紹介すべきユニークな特徴がたくさん備わっているのです! 次回はお待ちかねの音符入力方法を解説します。お楽しみに!