【Dorico】Tipsその5(パート間で異なる拍子)

前回に引き続き、Doricoの拍子記号についてのTipsです。今回はパート間で異なる拍子(ポリメトリック)を入力する方法をご紹介します!

ここでいうパートとは、Doricoの用語でいうところのプレーヤーのことです。

音価がずれない場合

次の譜例のように、拍子記号は違えど進行する音価が同じ場合は簡単です。

どちらのパートも4分音符の長さは変わりません。

拍子記号のポップオーバーで拍子を入力し[Enter(Windows)/Return(macOS)]キーの代わりに[Alt/Option]+[Enter/Return]キーを押すと、そのパートにだけ適用することができます。右ゾーンの「拍子記号」パネルからマウスで入力する場合は[Alt/Option]キーを押しながらクリックします。

メニューバーの「ライブラリー」→「浄書オプション」→「小節線」→「小節線を結合」→「混合拍子で同じ位置にある小節線」を「同じ位置にある小節線を結合」に設定すれば、小節線をつなげることもできますよ!

余談ですが、ここでいう混合拍子(英語版:polymetric music)は前回の記事における混合拍子(英語版:additive meter)、すなわち楽典でいうところの混合拍子とは異なるのでご注意ください。

音価がずれる場合

次の譜例のように音価がずれる場合はDoricoの標準機能では書けません。

先ほどの例では音価が一致していたのに対して、こちらは小節割りが一致するともいえます。

そこで! 連符を使った裏ワザをご紹介します。

まずは次のように入力します。

連符を選択し、下ゾーンの「連符」パネルで連符の数字と大括弧を非表示にします。

連符を非表示にすると緑色のガイドが表示されますね。ガイドについては「Doricoの基礎 その3」で復習を!

このとき連符(数字・大括弧)だけを選択しないと連符パネルが表示されません。右クリックメニューの「フィルター」を使えば簡単に連符だけを選択できますよ♪

あとは下パートの拍子記号の表示だけを3/4に変えることができれば完成なのですが……

1. アウフタクトを活用する

最初にアウフタクト弱起)を使う方法です。百聞は一見にしかず、まずはご覧に入れましょう。

2小節目の下パートに2/4拍子を入力します。

つづいて1小節目の下パートに「2拍のアウフタクトをもつ3/4拍子」を入力します。

ガイドの「(q, 1+1+1)」の意味は機会があれば解説するかも……? ここでは割愛します。

つまり、「アウフタクトをもつ拍子記号」の「アウフタクトの部分」だけを使うのです。おまけのシール目当てにお菓子を買うみたいですね(笑)

あとは2小節目の余計な2/4拍子を非表示にすれば完成です!

拍子記号を選択し、下ゾーンの「拍子記号」パネル内「拍子記号を非表示」をオンにすれば非表示になります。

2. テキストとして書く

拍子記号をテキストとして書く方法もご紹介します。

上述の方法で拍子記号を非表示にします。そのままだと同じ縦位置にあるすべてのパートの拍子記号が非表示になってしまうので、下パートにだけ有効な2/4拍子を入力しておくとよいでしょう。

つづいて拍子記号を譜表テキスト([Shift]+[X]キー)として入力します。

Chaconne Exフォントをお持ちであれば、数字をタイプするだけで拍子記号の数字が入力できます! お持ちでなければ右クリックメニューの「音楽テキストを挿入」→「Time signatures」から入力したあとサイズ等を調整するか、フォントの導入もご検討ください。

あとは浄書モードで位置を調整すれば完成です。このとき、下ゾーンの「テキスト」パネルから「衝突を回避」をオフにしておきましょう。

おわりに

最初のアウフタクトを使う方法を応用すれば、こんな譜面も作れます。

「6拍(!)のアウフタクトを持つ4/4拍子」を使った例。(ショパンのノクターンより)

どうやっても表現できない表記は、最終手段のテキストです!

小数点を含む拍子記号はテキストで入力するしかありません。

今回は非表示の連符を使ったテクニックでしたが、次回も連符を深掘りしますのでお楽しみ!

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