【Dorico】Tipsその13(トーンクラスター:その1) 

こんにちは! 今回は密集した和音トーンクラスターの入力方法を解説します。

先に前回をご覧いただくと、このあとの「符頭セット」がわかりやすいかと思います。ぜひそちらもご覧ください♪

同度の和音

和音の中に同度の音が同居する場合、このように枝分かれした表記をすることがあります。

通常トーンクラスターとは呼びませんが、仲間としてここでご紹介します。(ショパンのバラードより)

ほかの楽譜作成ソフトだとなかなか大変そうですが、Doricoではただ音符を入力するだけで枝分かれが表記されます。すごいですよね!

MIDIキーボードで一発で入力することはできないので、和音モード(ショートカットは[Q]キー)や異名同音の変換Tipsその3参照)も活用しましょう。

トーンクラスター

ここでいうトーンクラスターというのは、このような表記です。

ピアノであれば、手のひらや腕を使って鍵盤を押さえる奏法ですね。

プレイバックには反映されませんが、符頭を工夫することで表現できます。

4分音符以下、つまり黒塗りのトーンクラスターなら簡単です♪

適当に和音を入力して選択し、

右クリックから符頭を「長方形符頭」に変更するだけです!

「長方形符頭」はここにあります。

しかし2分音符以上、すなわち白抜きのトーンクラスターはうまくいきません。

あくまでも「長方形符頭」であって、クラスター用の符頭ではない。

Dorico標準フォントのBravuraや弊社フォントChaconne Exはこういったトーンクラスターのための記号を収録していますので、符頭セットを作ることで対応できます!

符頭セットを1から作る

Dorico標準の音楽フォントであるBravuraには、5度のトーンクラスターのための符頭が収録されているので、これを使ってみます。

もし音楽フォントにChaconne Exを使っていただいている方も、今回は練習のためにBravuraで進めていきましょう。(Chaconne Exの活用法は次回ご紹介します!)

まずはメニューバーの「ライブラリー」から「符頭セット…」をクリックし、「符頭セットを編集」ウィンドウを開きます。

前回は既存の符頭セットを複製しましたが、今回は新規作成するので左下の「新規」(「+」アイコン)をクリックします。

名前は「クラスター」としておきました。

次に「符頭」の中にある「追加」(「+」アイコン)をクリックします。

左のカテゴリーの「+」ではなく、こちらの「+」アイコンです! 名前は「クラスター黒」としておきます。

次に「符頭」の中の「符頭を編集…」(鉛筆アイコン)をクリックします。

この鉛筆アイコンが「符頭を編集…」です!

「符頭を編集」ウィンドウが開きました。

まずはゴミ箱アイコンをクリックし、デフォルトの符頭を削除します。

続いて「範囲」プルダウンから「Note clusters (U+E120–U+E14F)」を選択し、「U+E121」のグリフ(下のスクリーンショット参照)を選択し「グリフを追加」をクリックします。

グリフにマウスカーソルを合わせると文字コードがポップアップ表示されるので、今回は「U+E121」を選択します。ちなみに、「グリフを追加」の代わりににグリフをダブルクリックしても追加できます。

次に「符尾」タブをクリックし、符尾の接続位置を調整します。

このスクリーンショットのとおりに数値を入力するとぴったりですよ!

「OK」ボタンで閉じたら、次は2分音符用の符頭も同様に作成します。

まずは「符頭」の中の「+」ボタンです。名前は「クラスター白」にしておきます。

デュレーションは「2分音符」にし、「これ以上のデュレーションに使用」にチェックを入れます。

こちらも「符頭を編集」(鉛筆アイコン)から、先ほど同様に符頭を追加、符尾の接続位置を調整します。

こんどは「U+E120」を使います。符尾の接続位置は4分音符と同じ数値でOK。

デフォルトの丸い符頭は不要なので、「符頭を設定から削除」しておきましょう。

箱から矢印が出ているようなアイコンが「符頭を設定から削除」です! 右上の「デフォルトの符頭」には「クラスター黒」を選択しておきます。

これで準備は完了です!

適当な音符(単音)を入力、選択し、

右クリックの「符頭」から先ほど作成した「クラスター」を選択すると……

完成です!

※上向きの音符の符尾(ぼう)が短すぎるので、浄書モードで適宜調整してあげましょう。

おわりに

今回はノートクラスターのための符頭セットを1から新規作成する方法をご紹介しました。

今回ご紹介した方法を活用すれば、BravuraやChaconne Exといった音楽フォントに含まれているさまざまな記号を符頭にすることもできますね!

次回は5度以外のトーンクラスターを作成する方法を解説します。よろしくお願いします!

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