【Dorico】Tipsその2(「A′」「Intro.」等のリハーサルマーク)

Doricoでリハーサルマークを入力すると、自動的にABC……と順番に並んでくれるので便利ですよね♪

ではA′Intro.といったイレギュラーなリハーサルマークはどうやって入力するのでしょうか?

今回は基本的な入力方法から上級者向けのテクニックまでご紹介します!

「A′」は「末尾テキスト」で

通常はABC……と続きますが、ABの間にA′を置きたいことがありますよね! この「′」(ダッシュ)は末尾テキストとして入力することができます。

※ここからは、とくに記載のない場合すべて記譜モードでの操作です。

まずはABCD……と通常どおりリハーサルマークを入力しておきます。

リハーサルマークは[Shift]+[A]キーで入力できます。

Bを選択し、下ゾーンのプロパティパネルにある「リハーサルマーク」グループ内、「末尾テキスト」をオンにし「’」と入力します。

つづいて並び順を修正する必要がありますが、末尾テキストの2つ上にある「インデックス」の値を編集することでリハーサルマークの順番は自由に変えられるのです!

インデックスを1にするとA、2にするとB……というふうに、何番目のリハーサルマークかを数字で指定することができるので、ここでは1(=A)にします。

するとB′A′に変わり、その後のリハーサルマークも自動的に正しい順番に並びました!

ところで、ダッシュのように見える記号はたくさんありますよね。ダッシュとして本来正しいのは「′」(プライム)ですが、国内の出版譜では「’」(右シングル引用符)がよく使われます。

左から半角アポストロフィー、右シングル引用符、プライム ※フォントはTimes New Roman

少なくとも半角アポストロフィーは伝統的な印刷物(組版)では一切使われないので、避けておいたほうがよさそうです。

「Intro.」の入力方法:基本編

Intro.Endingといったリハーサルマークには組段テキストを用いるのが正攻法でしょう。

※譜表テキストと組段テキストの違いについてはスウィング記号の記事をご覧くださいね!

リハーサルマークを挿入したい箇所を選択し、[Shift]+[Alt(Windows)/Option(macOS)]+[X]キーを押します。

ここに「Intro.」と入力し、フォントやサイズを調整すればよいのですが、「パラグラフスタイル」(「¶」マーク)を「リハーサルマーク」にしておけば通常のリハーサルマークと同じフォントになりますよ!

あとはプロパティパネルの「枠線」にチェックを入れれば枠線がつきます。

通常のリハーサルマークと見た目を揃えたい場合は、浄書モードに切り替えるとプロパティパネルから個別に線の太さや余白を調整することもできます。「境界線の太さ」は、「浄書オプション」([Shift]+[Control/Command]+[E])>、「リハーサルマーク」カテゴリー>「囲み線」>「囲み線の太さ」と同じ数値にしておくとよいですよ!

でも、いちいち浄書モードで調整するのは面倒ですよね?

テキストの枠線をリハーサルマークにしか使わないのであれば、「浄書オプション」>「テキスト」カテゴリー>「外観」>「境界線の太さ」を調整しておくのも手でしょう。

ただこの方法では余白を一括で設定することはできませんし、人によっては「(やり方が)美しくない」と感じられるかもしれません。なにより筆者もその一人です(笑)

そこで、次章ではパラグラフスタイルを活用する方法をご提案します!

「Intro.」の入力方法:発展編

メニューバーの「ライブラリー」>「パラグラフスタイル…」を開きます。

左カラムの「リハーサルマーク」を選択し「選択部分から新規作成」をクリックすることで、「リハーサルマーク (2)」というパラグラフスタイルが新規作成されます。

あとは枠線をオンにし、太さや余白を調整したら「OK」で閉じます。

Chaconne Exフォントライブラリーファイルをお使いの場合は、上のスクリーンショットの数値を真似してみてください。

あとは組段テキストを作成し、先ほど作った「リハーサルマーク (2)」をパラグラフスタイルに選択しておけば、「Intro.」「Ending」など文字列を入力するだけで完成です!

パラグラフスタイルを定義しておけば、1つずつ枠線の太さや余白を調整する手間がかかりませんね。

補足

「浄書オプション」>「リハーサルマーク」カテゴリー>「囲み線」>「囲み線のタイプ」を「囲み線なし」に設定してしまい、リハーサルマークのパラグラフスタイルに枠線をつけておけば、パラグラフスタイルを増やさなくとも統一的に枠線を設定できるのではないかと思われた方、なかなか鋭いです!

実際に試してみると……

左2つが通常のリハーサルマーク。右2つは浄書オプションで「囲み線なし」にし、パラグラフスタイルに枠線を定義したもの。

パラグラフスタイルに枠線を設定した場合、囲み線の横幅が文字幅に依存します。いっぽう浄書オプションから設定できる囲み線は「最小幅」を持っていますので、Iのように細長い文字が入っても最小幅が保たれます。

国内の出版譜では正方形のリハーサルマークをよく見かけますので、ここは好みで選択するとよいでしょう。

「Intro.」の入力方法:応用編

組段テキストを使うのがDoricoの設計上“正しい”方法だと思いますが、裏ワザとも呼べそうな方法もご覧に入れましょう。それが、A′を入力するときに使ったリハーサルマークの末尾テキストインデックスを使う方法です。

ここではIntro.ABEndingを作るために、まずは通常のリハーサルマークをABCDを入力しておきます。

Aを選択し、インデックスを「9」(=I)に、末尾テキストを「ntro.」にすると……

Intro.」が完成しました!

ただし化けの皮を剥ぐとリハーサルマークIです。次にAが続くべきところJが来てしまっているので、Jのインデックスを「1」(=A)に修正します。

EndingIntro.同様に、インデックスを「5」(=E)、末尾テキストを「nding」にすれば完成です。

組段テキストを使う方法とは違い、すべて正真正銘の「リハーサルマーク」です。

 おわりに

今回はイレギュラーなリハーサルマークを入力する方法を、基本的なやり方からトリッキーなテクニックまで紹介しました。どの方法がよいかはみなさんの美的感覚によるところもあるかも……?

次回以降も引き続きDoricoのTipsを解説しますので、お楽しみに!

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