【Dorico】FinaleからDoricoへ!Doricoの便利機能 その2(コンデンシング)
前回はDoricoの便利機能としてリデュースとエクスプロードをご紹介しました。今回はそれと似て非なる機能、コンデンシングをご紹介します!
コンデンシングの基本
コンデンシングとは、複数のプレーヤーを通常より少ない譜表に表示する処理のことです。……といってもピンとこないと思いますので、今回もさっそく実演です。
次のようなスコアを入力してみました。

ショパンの協奏曲より。
メニューバーの「編集」にある「コンデンシング」にチェックを入れると……
同じ楽器のプレーヤー(パート)がまとまって表示されました!
シングルプレーヤーとセクションプレーヤー
ところで第2回でプレーヤーについて説明した際にはわかりやすさ重視で省略したのですが、プレーヤーにはシングルプレーヤーとセクションプレーヤーの2種類があります。バイオリンセクションのように、全員が同じインストゥルメントを演奏するグループにはセクションプレーヤーを使用します。
デフォルトではパートの番号として、シングルプレーヤーにはアラビア数字(1,2,3…)、セクションプレーヤーはローマ数字(I,II,III…)が使用され、セクションプレーヤーにはコンデンシングが適用されないのですが、これは市販のオーケストラのスコアとまったく同じスタイルですね!
コンデンシングのグループ
どのプレーヤーを1つのグループとしてコンデンシングするかは、メニューバーの「ライブラリー」から開ける「レイアウトオプション」ダイアログにある、「プレーヤー」内の「コンデンシング」から編集することができます。

「セクションプレーヤー」の「ディヴィジと隣接するプレーヤーをコンデンシングする」を選択すれば、ご覧のとおり、バイオリンもコンデンシングされます。
バイオリンに「unis.」が自動的に表示されているのにお気づきになったでしょうか? ちなみにシングルプレーヤーであれば「a 2」が表示されますよ!
これだけでもすごいのですが、コンデンシングが本領を発揮するのはここからです。
コンデンススコアを自動作成
先ほどの「レイアウトオプション」ダイアログから、「カスタムコンデンシングを行なうグループ」の左下の「+」ボタンをクリックします。
すると楽器リストが表示されるので、ドラッグしてフルートからファゴットまでを選択し、OKをクリックします。
同様にしてバイオリンとビオラのグループ、チェロとコントラバスのグループも作成します。
すると……
さらにギュッと圧縮された楽譜になりましたね!
和音として表示するか、声部を分けて表示するかなどはDoricoが判断してくれますが、「記譜オプション」から細かく設定することもできます。

メニューバーの「ライブラリー」から「記譜オプション」ダイアログ内の「コンデンシング」のオプション。スクロールすると、じつに多くのオプションがあることがわかります。
つまりDoricoに任せておけば、コンデンススコアも自動的に作ってくれるということなんです!
リデュースとの違い
譜表をまとめるという意味では前回ご紹介したリデュース(とエクスプロード)と似ていますよね。
じつはコンデンシングをオンにしても楽譜そのものは書き換わっておらず、オフにすれば元通りバラバラに戻るのです。それに対して、リデュースとエクスプロードは楽譜そのものを書き換えます。
つまりコンデンシングはオン・オフを切り替えることが前提の機能であり、コンデンススコアの作成はもちろん、作編曲中にハーモニーやボイシングを確認したいときにも使えます! いっぽう、ピアノスコアからアンサンブルに書き換えるときはエクスプロード、その逆にはリデュースといったように、こちらは記譜そのものの手段として使用します。
コンデンシングがオンの状態では浄書モードで見た目を整えることはできますが、記譜モードでの編集はできないことからも、使い分けがイメージしやすいかと思います。
おわりに
これまでの記事をご覧になれば、Doricoが単なる楽譜清書ツールという枠組みを超えた強力な作編曲ツールであることがおわかりいただけると思います!
次回は、このたびDorico対応フォントとして発売されたChaconne Exの紹介と、使い方を解説する予定です。お楽しみに!